中東欧の黒字は伸びている。それでも「最初の一歩」はドイツが有利な理由

中東欧のデータは本物だが、見るべき軸が違う
ジェトロの調査によれば、2025年の中東欧拠点の黒字見込みは全業種で5.5ポイント増、製造業に限れば52.4%から64.5%へ12.1ポイントも上昇しました。これは事実であり、否定するものではありません。
ただし、この数字が示しているのは「すでに現地に根を張っている既存拠点」の収益性改善です。サプライチェーン、人材、行政対応のノウハウをすでに構築し終えた企業が、コスト面のメリットを収益に転換できている段階の話であり、これから初めて欧州に足がかりを作ろうとする企業にとっての「進出のしやすさ」とは、そもそも測っている軸が異なります。
初めての進出先として、ドイツにはすでに土台がある
新規進出において重要なのは、黒字率そのものより「一人でゼロから始めなくて済むかどうか」です。この観点で見ると、ドイツには無視できない蓄積があります。
ドイツのNRW州には日系企業拠点が約650社集積しており、これは欧州最大の集積地です。日本人コミュニティも約7,000人規模に達しています。取引先候補、会計・法務の専門家、住居や教育など生活基盤に至るまで、すでに他の日系企業が切り開いた土壌がそのまま使えるということです。中東欧での成功は、まさにこうした基盤をゼロから作り上げてきた企業の成果であり、その過程を今から新たに歩む必要はありません。
技術的な親和性という、もう一つの根拠
ドイツを拠点として選ぶ根拠は、コミュニティの規模だけではありません。ドイツの産業用ロボット大手KUKAは、日本のファナック・安川電機・川崎重工と並んで、この40年間、世界の産業用ロボットの標準を作ってきた企業です。今回日本で始動した「フィジカルAI」の国家プロジェクトも、この技術系譜の延長線上にあります。同じ技術文化を持つ土地で事業を始めることは、単なる立地選定以上の意味を持ちます。
直近の回復基調も、ドイツ側で先に表れている
2026年7月、ドイツの製造業PMIは4カ月ぶりに拡大局面へ回帰し、輸出受注は2022年2月以来もっとも速いペースで増加しました。中東欧の黒字改善が既存拠点の「収益の質」の話だとすれば、ドイツのこの動きは「新しい取引先を積極的に探し始めている」という、まさに新規参入企業にとって追い風になるタイミングのシグナルです。
まとめ
中東欧の黒字上昇は、そこに根を張った企業の努力の結果であり、これから進出する企業がいきなり享受できる数字ではありません。土台がすでにある場所から欧州事業を始めたい経営者様は、お気軽にご相談ください。




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