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日本再生の設計図 ― アギヨン理論と、日本企業が今こそ取り組むべき「真の成長戦略」


はじめに:なぜ今、アギヨン理論なのか

2025年、ノーベル経済学賞はジョエル・モキイア氏、アギヨン=ホーウィットの研究に

授与されました。彼らの「創造的破壊(creative destruction)」という理論は、経済成長を単なる量的拡大ではなく、創造 ↔ 破壊 ↔ 成長 ↔ 制度の設計された連鎖として

捉え直すものです。

この考え方は、近年の日本でも「なぜ賃金が上がらないのか」「なぜ成長が鈍いのか」

という構造的な問題へのヒントを与えてくれます。今や「技術力さえあれば自然と成長する時代」は終わり、構造を設計する力が求められています。


1. 賃金上昇は“偶然”ではなく“設計”で取り戻せる

アギヨン理論によれば、経済成長(g)は「革新の頻度(λ)」と「革新による改善度合い(γ)」の掛け算で決まります。

  • λ(革新頻度)を高める → 新たな企業、新技術、新事業の創出

  • γ(改善幅)を深める → 技術の磨き込み、生産性向上、付加価値強化

この連鎖が回る社会・企業では、物価上昇を超える「構造的かつ持続可能な賃金上昇」

が可能になる。

しかし日本はここ数十年、この連鎖がうまく機能せず、企業の新陳代謝が進まず、

“安定”が“停滞”につながってしまった。

つまり、賃金を“ただ上げる”だけでは一時的な対症療法であり、 本質的には

「構造そのものを再設計する」必要があるのです。


2. なぜ「外貨を稼ぐ」「海外取引を増やす」ことが今、

特に必要か

国内市場が縮小し、人口減少が進むなか、日本企業が限られた円建て需要だけに頼り続けるのは、賃金上昇と企業の成長を同時に成し遂げるには不十分です。

ここで考えるべきは:

  • 外貨収益の確保 → 円の価値低下や物価上昇リスクのヘッジ

  • 海外市場での勝ち筋確保 → 新たな「創造」の機会

変化(破壊)を恐れず、新しい市場やビジネスモデルへ挑戦することで、

λ を引き上げることができる。それこそが、「国内の縮小」に立ち向かう

アギヨン理論に根ざしたリアルな成長戦略です。


3. 賃金上昇=“人財を引き止める”だけではない

― 企業の存続につながる

昨今、日本では大企業を中心に賃上げが進んでいます。一部では数%以上のベースアップの報道もあり、物価上昇に追いつこうという動きが見られます。

しかし、賃上げは「リテンション(人を留める)」という目的だけで終わっては

いけません。本当に目指すべきは—

  • 人財のモチベーション維持

  • 高付加価値への転換

  • 市場・顧客の多様化

などを通じた「企業の生命力の強化」。これは、単なる内部最適ではなく、

企業の存続可能性=サステナビリティ を確保するための必須条件です。


4. “設計された破壊”による産業構造の再生

アギヨン理論が提唱するように、「破壊」は必ずしもネガティブではありません。むしろ、古く非効率な構造や慣習を手放し、新しい挑戦を受け入れることで、

産業全体を再生するチャンスになり得るのです。

たとえば:

  • 国内市場だけに依存してきた事業モデルを見直し、海外展開を積極化する

  • 新規事業/海外提携を社内制度として制度化する(社内起業、ジョイントベンチャー等)

  • 成果分配や報酬制度を見直し、「高付加価値 × 公平な分配」を実現する

こうした“設計された破壊”こそが、日本企業の未来を切り開く鍵になるはずです。


5. 結論:物価を超える賃金、そして外貨を得る

―それが日本再生の実践戦略

  • 物価上昇に追いつく賃金上昇は、もはや短期的な対策ではなく、企業と社会を守るための構造戦略

  • そのためには、国内需要だけでなく、海外ビジネス/外貨獲得を通じて、

    新たな価値と成長機会を設計する必要がある。

  • “創造 ↔ 破壊 ↔ 成長 ↔ 制度”の循環を意識的にまわすことで、

    — 社員の賃金とモチベーションを底上げし、

    — 高付加価値のビジネスを育て、

    — 長期的な企業の生命力を確保する。

アギヨン理論は難解な経済モデルではなく、“これからの日本と日本企業の生き延びる道” を示す、実践のための設計図になり得る。

国内に留まらず、世界に繋がるビジネスを設計し直す—それこそが、これからの C レベルに求められる真のリーダーシップではないでしょうか。

 
 
 

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